「少なくて申し訳ありませんが…、みなさんでわけてお召し上がり下さい」
三蔵法師がご供養にあがった、おウチのお母さんは…。炊いたごはんとお野菜を、…お斎として供えてくれました。
…「いえいえ、こちらこそご催促したよ〜で申し訳ありません。ありがとうございます…、弟子達といただきますので。これ八戒持ちなさい、ちゃんとお礼をゆうんだよ…」
猪八戒に、…炊いたごはんとお野菜を運ぶよ〜ゆいつける三蔵法師。
…「弟よ、お前と来たら。いつも荷物を運ぶのを…、ぶうぶう文句ばかり垂れるくせに。それが食べ物となると、喜ぶんだな…!!」
…「兄貴、何をゆってるんだ。このごはんとお野菜は…、今でこそオイラの背中に担がれてるが。いずれはおなかに入っちまう、それなら前も後ろも大して違いはあるめぇ…」
ぽっこりしたおなかを、…ポンッと叩く猪八戒。
…「これもわずかですが、旅の道中でご用立て下さい」
いくらかの銅銭を…、お母さんは紙に包んで差し出します。
「あっ、それはぼくが受け取ります…。旅のお会計係、…ぼくなので」
…沙悟浄は、懐からお財布を取り出し。受け取った銅銭を…、大切にしまいました。
「こらッ、悟浄…!何でお礼をゆわない、…真にありがとうございました。…これもご縁とはゆえ、何から何まで準備してもらってしまって」
何度も頭を下げる…、三蔵法師。
「たったこれだけですから、それにしても…。私達もお坊さんに通りかかっていただいて助かりました、…おじいさんもあまりに急に亡くなったのですから」
…最後にも〜一度頭を下げると、三蔵法師は竜馬にまたがります。
「さぁ…、あなた達も最後にみんなで。お礼のご挨拶をするんだよ、それではありがと〜ございました!!」
「ありがと〜ございました…!!!」
三蔵法師のあとに続いて、…ご挨拶を唱和する三匹のお弟子達。…こ〜して、一人と三匹は再び旅路に就きました。
「ウチのお師匠さまも…、気が利かないな。さっきのおウチで一晩泊めてもらえばよかったのに、そしたら今夜はあたたかい寝どこでゆっくり出来たのにな…」
…「兄さん、それはしょ〜がないよ。さっきのおウチは手狭だったろ〜…、そりゃお師匠さまが頼めば。泊めてはくれたろ〜けれど、お師匠さまも気をお遣いになったのさ…」
…「弟、おれさまからこらしめられたのに。まだこりてないのか…、何ならお師匠さまにも〜一度お説教してもらうぞ!」
猪八戒は荷物を担ぐ片腕とは反対の手を、ブルブル振ります…。
「これ以上のお説教は勘弁々々、…ぶひぶひ。…お師匠さまのお説教と来たら耳が痛くなるんだ、あまりにも真面目過ぎて」
三匹のお弟子達のやり取りを…、馬上の三蔵法師も聞き及びました。
「悟空、確かに私は先程八戒にお説教を申し渡した…。それは、…八戒が一人ずもうを取り。…バタバタと騒いでいたから、それをあなたが"こらしめた"とは一体ど〜ゆう意味かな?」
ギクッとして…、思わず真っ赤なおしりを両手で隠す孫悟空。
「お、お師匠さま、それはですね…。おれさま、…弟に一緒に"法華経"を読もうと誘ったんです。…ところが、それを聞かずに」
三蔵法師は…、懐から数珠を取り出し指を絡ませます。
「私は、あなたがそ〜ゆうなら信じよ〜と想う…。しかし少しでも心にやましい点があるなら、…緊箍呪があなたの〜運命〜を待ち受けてゆるだろう。…わかってゆるだろ〜ね、孫悟空よ」
それを聞いて…、ニヤつく猪八戒。
「ど〜だい兄貴、緊箍呪を味わいたいかい…?これは貸しだからな、…今夜の晩ごはんで払ってもらうとするよ?」