西遊記〜一人と三匹の愉快な旅〜 その17

平頂山の北西に向かって、筋斗雲を飛ばす孫悟空…。

「あったあった…、多分あれだ」

孫悟空の視線の先には、豪華なお屋敷があります。

「こんなデカいウチに住んでるなんて、…ずい分い〜暮らししてるモンだな」

この豪華なお屋敷は、太上李老君から教えてもらった…。金角・銀角両大王の母親が…、住んでゆました。

…「ど〜やって忍び込んだモノか、そ〜だあれにしよ〜」

孫悟空は、…少し離れたトコロに筋斗雲を降ろし。そこから歩いて、豪華なお屋敷に向かいます…。

「貴様は何者だ…、用向きをゆえ!!」

…豪華なお屋敷の、門番に呼び止められる孫悟空

「あぁ私ですか、…金角・銀角両大王さまから遣わされた者ですよ。お母さまへの、おことづけを預かってましてね…」

人に頭を下げるのが嫌いな孫悟空は…、如意棒で引っ叩いてやりたいのを必死で我慢してゆました。

…「ゆいだろ〜、通るがゆい。念の為ゆっておくが、…失礼のないよ〜にな」

孫悟空は、召使いの者に金角・銀角両大王の母親の元まで案内されます…。豪華なお屋敷は…、それはそれは巨大で。…中は、迷路のよ〜に入り組んでゆました。

「あらまぁ、…可愛らしいお猿さんね。もしあなたさぇよかったら、ウチで飼って差しあげてもよくってよ…」

この金角・銀角両大王の母親の一言に…、心の中でブチ切れる孫悟空。…孫悟空にとっては、「可愛い」とゆ〜のが特に許せません。

「ありがたいお言葉ですが、…私には金角・銀角両大王さまにお仕えする役目が待っていますから。それよりもこの度、金角・銀角両大王さまは念願叶って…。遂に三蔵法師とゆ〜人間を…、捕らえてございます。…こいつは何と、天で一万年も修行したとゆ〜ドえらい坊主なのですね。この坊主の肉を一口食べれば、…それだけで不老不死間違いなし!金角・銀角両大王さまは、孝心を起こされまして…。是非お母さまにも召しあがっていただきたいと…、私を遣わされたのですよ」

孫悟空は話しながら、自分の舌を噛み切ってやりたい想いです。

「じゃあ私、…早速出かけるわ。あなた悪いけれど、カゴを用意してちょうだい…」

立ちあがって出かける準備を始めよ〜とする…、金角・銀角両大王の母親。

…「少々お待ち下さい、お母さま。三蔵法師には、…三匹お供がついておりまして。このウチ二匹は大したコトありません…、しかしまだ捕らえられていない。…孫悟空とゆ〜ヤツが、滅法手強いのであります。こいつを捕まえるには、…どんなに短くとも1週間はかかるでしょ〜から。ここは日を改めまして、再びお迎えにあがるのを待って欲しい…。そ〜…、金角・銀角両大王は申しておりました」

…金角・銀角両大王の母親は、イライラしてくちびるの端をキッと結びます。

「それならば、…出来るだけ急ぐよ〜に子供達にゆいつけておくれ!!蓮華洞には、手下の妖怪が300体はいるのでしょ〜…?そんな孫悟空なんてちっぽけなお供は…、大したコトないわ」

…頭を下げて金角・銀角両大王の母親の前から、退出する孫悟空

孫悟空は豪華なお屋敷を出ると、…すぐに筋斗雲で地球を3周しました。

「あ〜むしゃくしゃする、あのじ〜さま…。よくもこのおれさまに…、"金角・銀角両大王の母親に化けて蓮華洞に侵入すればゆい"な〜んて。…抜かしやがったな、大体おれさまは。確かに化け術は習ったし使えもするが、…得意じゃねぇんだ!だがしょ〜がない、これはみんなの為なんだ…。妖怪の戦力もおおよそわかったし…、モノは試し演ってみるか!!」

孫悟空は、筋斗雲のうえで。クルッととんぼ返りを打つと、…その姿は金角・銀角大王の母親そっくりになったのです。