「あちゃ〜、…こりゃダメだ。…何度やっても勝てないね、勝美さんのがリズム感ゆいんだな」
良太と純平が…、Jazz・バー「Marble」で飲んでから週が明けて。翌火曜日、良太は勝美をおウチに呼んで…。またPlay stationを持って来てもらい、…二人で「ウンジャマ・ラミー」の対戦モードをプレイしてゆた。
…「だって、私はも〜曲を憶えてますから。練習すれば…、良太くんもきっとうまくなります」
流れて来る音符を、拾うのに必死な良太だが…。勝美はスコア上にない音をバシバシ打ち込み、…リズムよく即興を決める。
…「子供の頃から、Jazzを聴いて育ったからかなぁ。それが…、勝美さんのリズム感を養ったのかも。おっJazzといえば、おれ先日純平とJazz・バーにゆってね…」
「それ、…ど〜ゆう意味ですか?」
…それとなく、不穏な空気をかもし出す勝美。良太は…、全く気がつかずに話を続けた。先週の金曜日に、「Marble」に純平と出かけ…。Jazz・バンド「Stingray」の生演奏と、…D.J.小野くんのプレイを愉しんだと。
…「そんなの、あまりにひどい。なんで…、私を呼んでくれなかったんですか。私だって、Jazz大好きなのに…」
勝美のほほを、…涙が伝う。…それを編み込みのおさげに巻きつけた、良太のプレゼントしたスカーフを解いて。勝美は…、拭った。
「だって、門限があるんでしょ…?」
ど〜して勝美さんが泣き出したか、…良太にはさっぱりわからない。…何故なら、正直ゆえば良太だって一緒にいきたかったのだ。
「そ〜ゆう時は…、特別です。しょっちゅうじゃないから、お父さんだって許してくれるのに…」
とめどなく流れる涙を、…スカーフで拭い続ける勝美。
…「うんうんごめんね、今度連れてったげるから」
良太は懸命にあやまるが…、勝美は泣き止まない。ど〜していいのかわからない良太は、必死に知恵を絞る…。
「じゃあこれから、…"コーヒー庵"にゆこ〜。…そしたら、ベイクド・チーズケーキおごったげるから。勝美さん好きでしょ…、"コーヒー庵"のベイクド・チーズケーキ?」
これは効果あったな、と実感する良太…。しかし押しが弱いなと考え、…今少し奮発するコトに決めた。
…「そしたらそのあとは、来福亭にでもゆこ〜よ。それもおれが出すから…、好きなの食べてゆいんだよ?」
ピクッと反応する勝美、しかしそれでも泣き止みそ〜なようすはない…。迷う良太だが、…思い切って決定的なのを打ち出すコトにした。
…「わかったよ勝美さん、そしたら今度"Marble"ゆった時。お金は全部おれが払うから…、それならど〜?」
これには勝美さんも、ち〜んとはなをかみ…。ケロッと笑い出した、…それにしても勢いでした約束とはゆえ。…トンデモない事態に発展した、良太はあの夜Jazz・バー「Marble」で13000円支払ったのである。勝美は良太程…、食べも飲みもしないが。合わせて3万円ぐらい用意しなければならない、しかししょ〜がないのだ…。全ては勝美さんに悦んでもらう為である、…良太は男らしく黙って耐えるしかないとはらをくくった。