再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その55

…「介護のお仕事調子はど〜ですか、良太くん?」

今日はお仕事おやすみなので、…良太は勝美とおやすみ合わせてデートである。

「おれさ、昨日初めておムツ交換入ったんだ…」

勝美と春日部駅で待ち合わせし…、東武伊勢崎線のホームで電車を待ってゆた。…本日のデートはお茶の水にある、Disk UnionのJazz専門館でレコードを漁るつもりなのだ。

「キレイな話じゃなくて申し訳ないんだケド、…尿をとるパッドにおしっこが出ちゃってたんだ」

介護のお仕事について語れば、ど〜しても尿や便がつきまとう…。それは仕方ないのだが…、勝美にすまないと想う良太である。

…「そんなの気にしないで下さい、私だって保育士志望です。赤ちゃんのおムツ、…開けたりしますから」

そんなお話が勝美に通じるのが、良太にとっては何よりだ…。

「尿をとるパッドに…、おしっこ出てるの見た時。…"人間ってお水飲むとおしっこ出るんだ"って気がついたよ、当たり前なんだけれども」

ホームに電車が到着し、…良太と勝美は乗り込む。平日の東武伊勢崎線上りは、そこそこに混んでゆて座れなかった…。二人は並んで…、吊り革をつかむ。

…「いつも自分でしてるのに、そんなの全然意識したコトなかったんだ。あのさ、…人間はお水飲まないと死んじゃうジャン?」

勝美はうんうんうなずいた、良太は自分の話が面白いとゆ〜自信がない…。

「その飲んだお水が…、体の中で摂取されて。…こんな風に排出される、いやそりゃキレイなモンじゃない。でも、…人間の体はそ〜ゆう構造になってるんだよね」

自分の伝えたいイメージを、頭で必死にまとめる良太…。それを黙って…、勝美は耳を傾けた。

…「うまくゆえないけれど、T.V.をつけるとニュースやってるじゃない?事故があったとか政治がど〜の、…みたいな。でもそれはヴァーチャルな情報でさ、人間は先ず"お水飲んだらおしっこ出る"んだよ…」

ピンと勝美には来る…、それは良太にもわかった。

…「それがわかった時に、"人間は自然の中で生きてて。そのサイクルで循環してる"のが、…おれにとってハッキリしたのね。それが、事実なんだって…」

良太は…、自分の話にまとまりがないと自覚している。…しかし保育士を目指す勝美には、他人事ではない現実として受け取られた。それからも二人は、…取りとめもなくおしゃべりを続ける。その中には、こんな話題もあった…。

「私今度大学卒業したら…、一人暮らし始めるんです」

…また一歩自分の先を進む勝美に、驚く良太。

「えっ勤める保育園が、…ご実家から遠いの?」

困ったよ〜に、勝美は笑った…。

「何ゆってるんですか良太くん…、まだ何も決まってないですから。…ただ私のお父さんが、"大学出たら一人暮らしなさい"って。"お金は少しぐらいなら出してあげるから"、…ってゆってたんです」

良太は、「鈴代家厳しいなぁ」とまたしてもびっくりである…。

「だって勝美さん…、ご実家の家事手伝ってるんでしょ。…それは、ど〜するの?」

おずおず尋ねる、…良太。

「そんな、だってウチのお母さんはまだまだ元気ですモノ…。私の手伝いなんて…、なくてもど〜にでもなっちゃいますよ」

…う〜んとモヤモヤする良太、良太自身も一人暮らしに憧れはあったが。300枚を超えよ〜とする、…レコード・コレクションをど〜したモノかわからなかった。