「おれ、…お風呂そうじするよお袋」
…あるおやすみの日、良太はお母さんにそ〜告げた。
「あらど〜したの珍しいわね…、いままでお手伝いなんてしたコトなかったのに」
良太は、耳をほじりながら弁解する…。
「いやこの間、…お仕事でお風呂介助入ったの。…でそれが終わったら、近藤副主任と一緒に浴室そうじしたんだケド。その時"良太くんやったコトないでしょ"…、って見抜かれちゃったんだよね」
モチロン良太の心には、今度一人暮らしを始める勝美さんの存在があった…。
「じゃあちょうどよかった、…お願いするわ。…ちょっと待って、浴槽の中と外を洗うスポンジわけてるの」
そ〜ゆって浴室に向かうお母さん…、良太もあとに続く。お母さんから、青のスポンジは浴室の中…。緑のスポンジは浴室の外、…と説明を受けた良太。
…「じゃ〜やるかな、洗剤はこれか」
青のスポンジに…、良太はたっぷりと洗剤を染み込ませる。その量は、客観的にゆって、明らかに多過ぎた…。お風呂の巻きふたを外し、…浴室の中をスポンジでこする。…力加減がわからないから、目一杯だ。一通り終わると…、シャワーから水を出して洗剤を洗い流す。
「浴槽は大したこたぁない、次はふたやってみるか…」
巻きふたの段々になってる、…出っぱりとへこみを全部キレイにしなくてはならない。…そ〜考えた良太は、やはり洗剤を出し過ぎながら一段々々全て磨き始めた。一時間程経って…、「そろそろかしら?」とお母さんが見に来ると。良太は、大量の泡にまみれた巻きふたの片面をよ〜やく洗い終えたトコロである…。
「良太、…そんなのにいつまで時間かけてるの。…サッとやればゆいのよサッと、それにそんなに泡立てて。あなた…、どれだけ洗剤使ってるの」
「あっそ〜なんだ」と良太は納得し、残り片面はサッと流す…。
「それでゆいの、…そんな丁寧にやってたら丸一日かかちゃうわ」
…お母さんがリビングに戻ると、壁や床を磨き始める良太。それにしても…、こ〜して自分で実際におそうじしてみると。タイルとタイルの間の目地に、ケッコウ黒いカビが生えていて…。どれだけこすっても落ちない、…良太はお母さんに相談するコトにした。
…「カビ・キラー吹きかけて、しばらく待つしかないわね。でもあのぐらいなら…、放っておいても構わないと想うけれど」
浴室に戻ると、良太は先程のお母さんのお話を思い出し…。細かいカビは省略する、…ただ2ヶ所やや目立つトコがあったので。…そこだけカビ・キラーしておいた、良太がお風呂そうじを終えると2時間半が経過してゆる。
「2ヶ所カビ・キラーしといたから…、あとで流すよ」
お母さんに一声かけて、自分の部屋に戻ろ〜とする良太…。
「あなた時間かけ過ぎよ、…汗かいてるじゃない。…ポカリ・スエット買っといたから、飲みなさい」
良太は…、500mℓペット・ボトルの栓を開けた。何だか気持ちがスッキリしたみたいだ、気が向いたらまたやるか…。そ〜想う、…良太である。