2014-01-01から1年間の記事一覧

麗しの聖母 中編

その夜マリアは、夢を見ました。 マリアは荒野に、一人で立っていました。 喉がカラカラで、とても水が飲みたかったのです。 マリア「水はどこだろう…?水が無ければ、私の命もないだろう。」 しかしマリアが、辺りを見渡しても、水らしい物は、どこにも見当…

麗しの聖母 前編

マリアは、夢をみていました。 マリアは、何も見えず、何も聞こえない空間に、一人座っていました。 一人でいる内に、段々不安になってきて、声をあげました。 マリア「ヨセフ!イエス!あなた達、どこなの!」 すると目の前に、奇妙な姿の老人が、立ってい…

鶴の恩返し 後編

鶴美はそれからも、ずっと家でごろごろしていました。 しかしその割には、よく食った。 鶴美は、寿限無の家で、寝泊りしている内に、どんどん肌ツヤが、良くなっていきました。 その様子を見て、寿限無は心配になりました。 寿限無「鶴美、君がこの家に来て…

鶴の恩返し 前編

昔々あるところに、寿限無という若者が住んでいました。 大変、縁起の良い名前だと、両親がつけてくれたのです。 だから寿限無は、自分の人生には、いつも幸ばかり、舞い込んでくるのだ、と信じておりました。 寿限無は、山で薪を採って、街で売っていました…

我等キリシタン 後編

二人は部屋に戻り、する事も無いので、寝る事にしました。 パウロは、電気を消しました。 パウロ「おやすみ、マルタリア。」 マルタリア「おやすみなさい…。」 パウロは、布団の中に潜り込みましたが、寝付くことが出来ませんでした。 窓の外では、スズムシ…

我等キリシタン 中編

そしてその日が、やって来ました。二人は近くの街に雲で降り、そこからレンタカーで、宿まで行く事に、決めていました。それは、パウロの発案でした。パウロ「雲で降りてしまえば、それは便利じゃが、地上の道をゆっくりと楽しむ!それこそが、旅の醍醐味じ…

我等キリシタン 前編

使徒パウロは、天国と地上を結ぶ仕事を、していました。天国の議会で決まった事を、地上の法皇様に伝える。また、法皇様の困っている事に、耳を傾け、それを天国に伝え、皆で協議するのです。他にも、天国で刊行されている、信徒向けの雑誌に寄稿したり、地…

お知らせ

「I'll see you in my dreams」 Django Reinhardt https://youtu.be/hNRHHRjep3E どうも、こんにちは。 オートマールスム(白)です。 友達が、写真を撮っていまして…。 だからそれを、ぼくの物語と、合わせてみました。 各物語の、第一話の冒頭に、貼ってあり…

お掃除おばさん 5

マグダレーナは、ペトロの部屋に行きました。 そして、例の小瓶が欲しいと、頼みました。 ペトロは、もうそんな物の事は、すっかり忘れていて、少し経って、思い出しました。 ペトロ「ああ、あれか。構わんが…、どういう風の吹き回しかね?あの時は、何の興…

お掃除おばさん 4

ペトロとヨハネが、思い付きを断念してから、しばらく経ちました。 そして、戦場で命を落とした、伝次郎の魂が、天国にやって来たのです。 天国中、伝次郎の噂で、持ちきりでした。 彼は、聖杯に辿り着いた、パルツィバルの再来と呼ばれて、持て囃されました…

お掃除おばさん 3

それから、ヨハネは色々贈り物を、しようとしたり、食事に誘ったりしましたが、ことごとく失敗していました。ヨハネ「あのおばさんときたら、どういう心の作りをしているんだろう?もしかしたら、お父様がネジか何か、大事な部品を取り付け忘れて、それて生…

お掃除おばさん 2

ヨハネは、いそいそと部屋に戻りました。 そして、棚からチョコレートの箱を取り出し、可愛い包装紙でラッピングしたのです。 ヨハネは、こういうマメな作業が、大好きでした。 ヨハネ「よし、これでいい。女性の気を引くなら、甘くて美味しい物が、一番だ!…

お掃除おばさん 1

マグダレーナは、本当はマグダラのマリアという名前でした。でも皆んな、マグダレーナと呼んでいたので、本人も本当の名前を、忘れてしまう時が、ありました。マグダレーナは、天国のお掃除の仕事を、任されていました。彼女は、痩せていてひょろ長く女性で…

二人の預言者 6

エリヤとカルナは、歩き続けていました。 カルナ「おじいさーん、あたし達いつまで歩くの?もう、飽きたー。」 エリヤ「うん…。もうじき、ギリシャに入るな。わし達が向かっているのは、ギリシャの神々の一人、パーンの所じゃよ。そこに、お前さんを待ってる…

二人の預言者 5

一方モーゼは、カインに手を焼いていました。 カインは、モーゼが思い描いていた様な、ちゃんとした子では、なかったのです。 食べ物を与えれば、直に手で掴む。それを、ボロボロ食べこぼしては、服も床も、汚す。 毎晩の様に、寝小便は垂れる。 遊びに連れ…

二人の預言者 4

エリヤは相変わらず、人気のない道を選んで歩いていました。カルナは、その後をトボトボ、ついていきます。エリヤは、これまでの旅で、一度も物盗りや山賊の類に、出会わせたことが、ありません。それは、エリヤに言わせれば、「わしは、運がいいからさ。」…

二人の預言者 3

その頃モーゼは、大きな港町に入りました。 ここで船を手配し、一気に海路から、ギリシャに向かおうと、考えたのです。 モーゼが、市場を歩いていると、活気のある声が、前後左右から、響いていました。 市場には、肉や野菜、パンや果物等の、生活に必要なも…

二人の預言者 2

エリヤは先ず、街道に沿って、歩いて行きました。エリヤは、ごちゃごちゃした、人の多いところは嫌いだったので、脇の道、脇の道へと、入って行きました。それでも、方向感覚がしっかりしていたのと、若い頃、世界中を旅してまわっていた経験から、道に迷う…

二人の預言者 1

ある時天国で、酒宴が開かれておりました。 席に連なっていたのは、三人の偉大な賢者。 イエス・キリストと、預言者エリヤ。 それに、預言者モーゼです。 三人は、偉大な人の集まる天国でも、最も偉大な三人でしたし、同時に何でも話せる、良き友人でもあり…

また、まとめと、そして、はじまり

「In my head」 Madcon https://youtu.be/kaRljQahEZg クリスマスの奇跡〜真夏の夜の夢、までは、人間の強さについて、書きました。 人間誰もが、潜在的に持っている、神の崇高さです。 浦島太郎〜キリストの地獄巡りは、人が生きる、悲しさをテーマにしたつ…

キリストの地獄巡り

天国にいるキリストの耳に、ペトロからある報告が、届きました。 それは、人間界で暴れていた、ルシファーが人間に傷付けられ、地獄に潜んだ、というものでした。 ペトロは、勢いこんで言いました。 ペトロ「キリスト様、これはチャンスです!この、千載一遇…

春の嵐 後編

翌朝、早速アベルは、ノアの元に向かいました。 アベルは、ウキウキしていました。 アベル「やあ、ノア!元気かい?」 ノア「どうしたの、やけに機嫌がいいのね。何か、いいことでもあった?」 アベルは、水をやりながら、星の雫の話を切り出しました。 しか…

春の嵐 中編

しかしある日、アベルが水を汲んで行くと、ノアは成長していて、アベルと同じくらいの年に、なっていました。ノア「おはよう、アベル。どうしたの?私の花びらに、何かついてる?」アベル「そうじゃないけど…。」ノア「じゃあ、どうしたのよ!私の事、じっと…

春の嵐 前編

ここではない時。ここではない、どこか。牧畜を司る神、パーンがいました。その息子の名前は、アベル。このアベルこそが、この物語の主人公です。パーン「アベル。明日はお前一人で、この羊の面倒を、見なきゃならん。それが牧神としての、お前の最初の試練…

浦島太郎

昔々あるところに、浦島太郎という男が、いました。 浦島太郎は漁師をしていて、ある日海岸を歩っていると、子供達が亀をいじめていました。 浦島太郎「こらこら、子供達。亀をいじめちゃ、いかん。離しておやりなさい。」 子供達「うわあ!変人の、浦島だ。…

はじめに

「A minute」 Shellac https://youtu.be/XXzZ0GncaJc どうも、こんにちは。 オートマールスム(白)です。 もちろん、これからもお話は、書き続けます。 読んでくれてる人が、いようがいまいが、そんな事は関係ありません。 ただ、書きたいから書くのです。 で…

まとめ

「Earwig」 Pearson Sound https://youtu.be/-nljhlPTFCY 人は、他人の出した答えを、信じません。 人は皆、自分の想像したことを、信じてるんです。 人はどう生きるべきか? それは、もうとっくの昔に、イエス・キリストによって、答えが出ています。 しか…

真夏の夜の夢 11

ルシファーが、地獄に去ってしまったことで、館はもはや失われようと、していました。 あちこちが、ぐにゃぐにゃと歪み、どんどん崩れていきます。 その中心で、伝次郎は呆けた様に、ボンヤリとしていました。 そこに、アリスが飛び込んできました。 アリス…

真夏の夜の夢 10

翌朝伝次郎は、再びルシファーの部屋へと、向かいました。伝次郎「ルシファー!お前に、用があるだ。大人しく、出てくるだよ!」蛇がおどおどと、姿を見せました。蛇「また、あなた様でございますか…。はいはい、ルシファー様でしょ?言っておきますが、もう…

真夏の夜の夢 9

アリス「このルシファーの館に招かれる者は、皆遠くない将来…、いえ、近い未来に死すべき定の、者達なのです。」伝次郎は、びっくりして声を上げました。伝次郎「えっ!?この館に来ると、皆ころされちまうだか!」アリスは、ゆっくりと首を振り、言いました…