2014-01-01から1年間の記事一覧

真夏の夜の夢 8

伝次郎は、またアリスを部屋に、呼びました。そして、今日の顛末を、残らず聞かせたのです。アリス「それは、何とも恐ろしい事を…。しかし、伝次郎様。私、思い上がったことを、お聞きしてもよろしいでしょうか?」伝次郎「聞くが、いいだ。遠慮はいらねぇよ…

真夏の夜の夢 7

翌朝伝次郎は、ルシファーの部屋へと、向かいました。伝次郎「おい、ルシファー!出てくるだ。」その剣幕に、蛇が驚いて出てきました。蛇「どうなさいました、伝次郎様!?」伝次郎「お前みたいな下っ端にゃ、用はねぇだ。さっさと、ルシファーを出すだよ!…

真夏の夜の夢 6

ある晩伝次郎は、いつもと同じ様に、娘を部屋に呼び、こう切り出しました。伝次郎「今まで、ありがとうな。でも物語りは、もういいだ。お前さんの頭の中には、まるで図書館が、丸ごと入ってるみてぇに、次から次へと、物語りが続くだな。余程頭が、いいんだ…

真夏の夜の夢 5

こうして伝次郎に、媚薬入りのワインが供されました。そのワインを飲むと、伝次郎は背筋がゾクゾクし、額から脂汗が流れてきました。伝次郎「何だべか、この妙な気分は…。何だか、寂しいような、切ないような、生まれて初めて感じる気分だべ。おら一体、どう…

真夏の夜の夢 4

伝次郎は、ビフテキを十皿は、食べたでしょうか。いい加減、お腹も膨れてきました。伝次郎「うぅ、もう食えねぇだ!いや〜食った、食った。おら一生分の肉を、一晩で平らげただ。もう肉なんて、見るのもごめんだべ!しかし人間っちゅうのは、不思議なもんだ…

真夏の夜の夢 3

伝次郎の席にも、豪華な料理が運ばれてきました。伝次郎「こりゃあ、何だべ?これが料理だって、言うだか…。」熱い鉄板の上で、分厚いステーキ肉が、ジュウジュウと音を立てて、焼けていました。伝次郎「鉄板の上で、何かが焼けてるのは、おらにもわかるべ。…

真夏の夜の夢 2

伝次郎は、広いホールに案内され、そこで席に着きました。辺りを見渡すと、肌の白いの黒いの、目の青いの茶色いの。その他にも、戦国時代風の甲冑を着けた侍や、三国志に出てくる武将、それにスパルタの兵士など、様々な人々が入り混じっていました。中には…

真夏の夜の夢 1

今より昔、太平洋戦争の頃の、お話です。場所は、東南アジアの日本軍の、陣地。そこに、伝次郎という名の、若い兵隊がおりました。その頃、日本軍は劣勢で、物資が行き届いて、おりませんでした。その為兵隊さんたちは、勇ましく戦っておりましたが、皆お腹…

かぐや姫 後編

二人の生活は、とってもラブラブでした。 かぐや姫「はい、あなた。あ〜ん。」 名無し「もぐもぐ、うん、美味しいよ。君が作ってくれるものは、何でも美味しい。ぼくは、幸せだな。」 かぐや姫「うふふ。結婚って、とっても素敵!こんなに、素敵な事だとわか…

かぐや姫 中編

かぐや姫は、上座へと座り、落ち着いた様子で、話し始めました。 かぐや姫「安倍右大臣様、ご機嫌麗しゅう存じます。遠いところをはるばる、よくいらっしゃいました。」 安倍「ほう、噂に違わぬ、美しさ…。おい、こう伝えろ、決まり切った前置きや、挨拶など…

かぐや姫 前編

昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが、住んでいました。 おじいさんは山へ入り、竹を取るのを、生業としていました。 ある日おじいさんが、山へ分け入っていくと、不思議な輝きを放つ、竹を見つけました。 おじいさん「はて、これは不思議な竹だ。こ…

金太郎 後編

それから、十年の月日が経ちました。 熊八の洞穴に、大きな声が響き渡りました。 金太郎「おい、熊公!俺だ、俺のこの声を、お前は憶えているか!?」 熊八は、片足を引き摺りながら、洞穴の入口へと、向かいました。 熊八「一体だれだ?全く騒々しいったら…

金太郎 中編

ある日、賢い子ギツネが、金太郎に相談を、持ちかけました。子ギツネ「金太郎さん、金太郎さん。この足柄山の奥深くに、一つの温泉があるのを、ご存知ですか?」金太郎「何だ、子ギツネ。そんな事は、俺は知らん。大体、風呂なんぞに浸かって、何が楽しいと…

金太郎 前編

昔々あるところに、男の子とそのお母さんが、住んでいました。男の子の名前は、金太郎と言います。お母さんは、一人息子の金太郎を、それはそれは大事に育てました。ある時お母さんは、金太郎に、とても大きな腹掛けを、与えました。お母さん「金太郎や、そ…

桃太郎 後編

こうして、桃太郎と三匹のお供は、鬼ヶ島にやって来ました。 鬼「ガハハ、よく来たな、桃太郎!お前の名前は、聞いている。しかし、俺たちを征伐しようなんて、生意気な考えを持つのが、お前みたいなチビ助だとは。俺たちも、舐められたものだな!」 桃太郎…

桃太郎 中編

桃太郎が、旅路を急いでいると、向こうから、犬がやってきました。 犬「桃太郎さん、桃太郎さん、何か食べる物が頂ければ、あなたのおともをして、共に鬼と戦いましょう。」 桃太郎「うん、犬の分際で、見上げた根性だ。よしよし、この大事な吉備団子を、お…

桃太郎 前編

昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが、住んでいました。おじいさんは、山へ芝刈りに。おばあさんは、川へ洗濯に行きました。おばあさんが、川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が、流れて来ました。おばあさん「おや、珍しい…。この川の上流に、…

クリスマスの奇跡 9

シーン6 再びお春(おばあさん)の家 お春、おばあさんに戻って、目を覚ます。 お春「私は、夢を見ていたのだろうか…。しかし、私自身が庄助さんを裏切り、罪なる思いに身を委ねてしまった事は、はっきりと覚えている。」 お春、立ち上がって。 お春「私は、私…

クリスマスの奇跡 8

シーン5 夜の村道お春、泣きながら歩いている。実家の戸の前に立ち。お春「お父さん、お母さん、私です。お春です。私が、間違っていました。私の過ちを赦し、家に入れてもらえませんか?」父親の声。父親「結婚式の前日に、別な男と駆け落ちする様な不届き…

クリスマスの奇跡 7

シーン4 お春と新三の生活こうして、お春と新三は結婚し、二人の生活は始まりました。しかし新三は、腹黒い男。誠意なんて、これっぽっちもありません。すぐに邪悪な本性をあらわし、お春をいじめました。お春と新三、ちゃぶ台の前に座っている。新三、ちゃ…

クリスマスの奇跡 6

シーン3 賭博場お春「ここが、新三さんの家だ…。」戸を開ける。手下、ツボを振り上げ、博徒を煽っている。手下「はい、丁ないか、丁ないか!半ないか、半ないか!コマが、揃いやした。」手下、ツボの中にサイコロを入れ。手下「いざ勝負、勝負!…、何だお前…

クリスマスの奇跡 5

向こうから、鍬を担いだ庄助が歩いてくる。庄助「いやぁ、今日も1日くたびれた。田んぼを耕すのも容易じゃない。何しろ田んぼというやつは、まるで生き物のようで、よくよく見定めてから、あっちへ一鍬、こっちへ一鍬といれなけりゃ、すぐに死んでしまって、…

クリスマスの奇跡 4

シーン 2お春(若い頃)の実家お春、目を覚まして、ぼんやりと辺りを見回す。お春「おや、ここはどこだろう?私の家ではないようだ…。どこか懐かしく、見覚えはあるのだが。」お春、ハッとして。お春「そういえばあの人形、あれは私が幼い頃、どうしてもと私が…

クリスマスの奇跡 3

お春、得意げに。お春「じゃあ私に、ヴィト⚪︎のバッグを下さい。でなければ、コー⚪︎でもいいわ。」キリスト、面食らって。キリスト「ええ!?お前はおばあさんなのに、そんな物を欲しがるのかい?」お春、すましながら。お春「あら、何もわかってらっしゃら…

クリスマスの奇跡 2

トントンと、戸を叩く音がする。キリスト「ごめんくださーい!」お春「おや誰だろう、こんな時間に大きな声を出して。お客さんは皆帰ってしまったし…。誰かうっかりした者が、忘れ物でも取りに戻ってきたんだろうか?」キリスト、堂々と登場し、客席を向いて…

クリスマスの奇跡 1

「赤い竜の力による支配に有志を率いて反旗を翻す主まーくん」のテーマ↓ MF from Hell/The Datsuns… https://youtu.be/4E1ptItaRR4 …これから始まる全ての物語は詩的な現実であり、だから実在の人物・団体とファンタジーに於いて非常に密接な関係にあります…